拡大するAR(拡張現実)市場 深センでのDX事例も紹介

2021年12月20日

ARの需要が増え、毎年市場規模が拡大しています。
ARとは、Augmented Realityを略したもので、日本では一般的に「拡張現実」と訳されます。

スマートフォンなどの画面に実在する風景を表示し、3Dデータなどのデジタルコンテンツを重ね合わせ、「現実世界をデジタルの力で拡張」する技術です。
単体で利用するよりも、他の業種と組み合わせて利用することで本領を発揮する技術で、異なる技術を組み合わせることで新たな価値を生み出すDXと相性のよい技術といえるでしょう。
日本で一時期大ブレイクした「ポケモンGO」もARの技術が利用されています。

市場規模が拡大するARですが先進技術が集まる中国深センではどのようなサービスが生まれているのでしょうか。

1.AR市場の拡大

REPORT OCEAN社のレポートでは、2020年の世界のモバイルAR市場は125.9億円に達し、さらに2021年から2027年の間に年平均31.38%ずつ成長することが予測されています。

爆発的ともいえる市場の拡大は、モバイル端末の普及率が後押しをしています。
先進国のスマートフォン普及率は中央値で76%と、先進国の多くの人がスマートフォンを保有していることが分かります。
スマートフォン端末を持ってさえいれば、AR対応のアプリを導入するだけでAR技術を享受できます。
近年では5G通信環境が整ってきたこともあり、「超高速・超低遅延・多数同時接続」のメリットがあることからさらなるサービスの拡大が見込まれます。

2.ARとの融合で生まれる多様なサービス

ARは他業種の技術が結びつくことで、考えつかなかったようなサービスが生まれる可能性があります。
中国深センに籍を置くIT企業ファーウェイは、2021年6月17日「Better World Summit for 5G+AR」というイベントを開催。
来賓者講演で、中国深セン市通信管理局局長は以下のように述べています。
「ARに代表されるICTサービスは、製造・電子商取引・不動産・インテリア・文化・スポーツ・観光・医療・教育、様々な分野で活用されていく」

実際、ファーウェイ社はこのイベントで「Air Photo」「Huawei AR Engine」2つのアプリケーションを紹介しており、AR技術の浸透が加速することが示唆されました。
Air Photoは2次元の写真を簡単に3次元データに変換するもの、Huawei AR Engineは10行ほどのコードでARアプリケーションの開発を可能にするものです。
スマートフォンアプリの開発が一般人も開発可能となった現在のように、AR技術も一般化していく未来をファーウェイ社は示しています。

3.深センで展開されるARと5GのDX

中国深センでは、実際にAR技術の一般利用が進んでいる事例を確認することができます。
AR技術を体感できるのは深セン宝安の「0glasses」、スマートフォンで気軽にAR体験が可能な「ファーウェイ AR地図」などです。

(1)0glasses
深セン宝安のスタートアップ企業0glassesは、IT技術の見本市CES2020で「RealX」を発表しています。
RealXは重量70gの軽さでありながらAR技術を体感できるウェアラブル端末です。
着用すれば、いつも見ている視界に透明のスクリーンを重ね合わせたような体験を得ることができます。
自宅で楽な姿勢で映画を視聴したり、外出先で紙の資料を広げることなく商談のシミュレーションを行うことが可能になります。
現時点ではメガネ本体の重量やバッテリーなど、課題が散見されますが、それも技術革新で解消されるでしょう。

ARメガネは一般消費者の利用に限らず、工場など生産現場でも活躍が期待されています。
0grasses社は江鈴汽車グループと共同で、自動車エンジンの組み立てをAR技術で支援するシステムを開発しています。
私生活での利用から生産現場まで、AR技術は幅広い分野での利用が期待されます。

(2)ファーウェイ AR地図
ARがもっと簡易に利用できることを示すのが「AR地図」です。
ファーウェイ社は2020年4月8日、AR地図を正式にリリースしています。

AR地図は以下の3つを主な機能として紹介しています。

・リアルタイムARナビ
・ホログラム情報表示
・仮想キャラクターとの写真撮影

リアルタイムARナビは、スマートフォンにカメラの視点が表示されると、目的地までのルートが重ねて表示されるものです。
従来のナビが使用者に地図情報の読み取りを求めていたことに対して、ARナビなら現実の視界にルートが表示されるため、より直感的にナビゲーションを受けることが可能になります。

ホログラム情報表示は、カメラの視点に観光情報などが重ねて表示されるものです。
観光地で史跡を見ても事前知識がなければ歴史に触れることができませんが、ホログラム表示されれば、現在地でリアルタイムに観光情報を受け取ることができます。

仮想キャラクターとの写真撮影は、スマートフォンの現実の画面に神話の生き物を表示させることができます。
表示されたキャラクターと並べば、写真の撮影も可能になります。

ARマップは最も手軽にAR機能を利用できるアプリケーションです。
ファーウェイ社のAR地図に限らず、スマートフォンで利用可能なARコンテンツは毎年、数を増やしています。
AR技術がさらに一般化し、市場規模が拡大していくことは間違いないでしょう。

参考:ファーウェイ社 AR地図のリリース
https://36kr.jp/67427/

4.まとめ

AR技術は他の業種と技術連携するDXにより真価を発揮します。
ITテクノロジーと無関係であった企業がAR技術で躍進する可能性も秘めているため、常にアンテナを張り巡らせ、AR技術を活用できないか検討することが大切です。

一方で、新たな分野との協同は新たなコストや手間が生じる可能性があり、一歩を踏み出すのが難しい場合があります。
その場合、先にDXを果たした事例を研究することで、他社より優位に立つことができます。

IngDanAcademyでは、豊富な写真・動画とともにDXの事例を紹介しています。
無料で公開しているコンテンツもあるので、一度視聴してDX変革への一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

記事監修者
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長
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