DX導入にデメリットはある?DX導入時の注意点を解説

2021年9月10日

「DXは企業の生産性を劇的に改善する」こういったDXのメリットが喧伝されていますが、DXの推進にはコストや手間がかかります。また、成功事例が多く報じられますが、逆にDXの取り組みが失敗してしまった例もあります。

新しいビジネスモデルを立ち上げるためには成功事例だけでなく、失敗事例にも学ぶ必要があります。
失敗事例から、DX導入の注意点を解説します。

1.DX導入によるデメリット

DXを導入する場合に考えられるデメリットは以下のとおりです。

(1)セキュリティ対策が必要
例えば、紙で管理していたアナログデータをデジタルデータに変換して、パソコンで管理するようシステムを更新する場合を考えてみましょう。
紙で管理する場合は、データにアクセスするためには紙を入手する必要があります。

一方で、デジタルデータとして保存し、更にクラウド化すると、社内でも自宅でも、どこからでもデータにアクセスすることができます。
セキュリティ対策をしていなければ、データの改ざん、悪用に繋がるため、ウイルス対策やパスワードの設定を行う必要があります。
また、セキュリティの更新を怠ったり、パスワードの管理体制に問題があると、セキュリティがどれだけ強固でも不正侵入の可能性が出てしまいます。

(2)イニシャルコストがかかる
更新するシステムの内容により金額は異なりますが、DX化当初は大きな費用がかかります。
例えば紙データのデジタル化の場合は、管理するためのパソコン本体、ソフトウェア、セキュリティ、スキャニングにかかるコストが発生します。

(3)ランニングコストがかかる
イニシャルコストと同様に、従来とは異なるシステムを用いるので、ソフトウェアの利用代金やクラウドの接続費用、保守代金などコストが増加します。

DX化によるメリットである、作業の効率化や正確性の向上、データ抽出による長期計画の立案しやすさなどは、長期的に徐々に経営に効くので、ランニングコストの増加は必要以上に大きなデメリットに見えてしまいます。
一方で、工場などのDX化の場合、従来のシステム維持費用が高額になっていた例もあり、新しいシステムの導入でランニングコストが減少する場合もあります。

(4)従業員の仕事のやり方が変わる
新しいシステムを導入すると、従来のシステムを用いていた従業員の仕事のやり方が変わります。
特に、紙で管理していたデータをタブレットに移行する場合、平均年齢が高い場合には反発が生じる可能性があります。
システム設計の段階から従業員の意見を聞くとともに、供用開始前に研修を行うなど、対策が必要です。

2.DX導入の失敗事例

デメリットを認識したうえで、DXの導入を試みて失敗してしまった企業をみてみましょう。

1つ目の事例は、写真用品メーカーコダックです。
コダックは世界最大の写真用品メーカーでしたが、写真のデジタル化に従い、業績を落としていました。
一方で、コダックも顧客のニーズに合わせて、デジタルに対応した製品を販売していました。

更に業績が落ち、倒産に追い込まれてしまった原因は、デジタルに対応した製品が、デジタル写真の印刷機であったことです。
スマートフォンとクラウド上で写真のやり取りが完結している現状を予見し、舵を切れなかった点が失敗だったといえるでしょう。

2つめの事例は、大手自動車メーカーFord社です。
2016年、自動運転などIT技術と車をDX化すべく「Ford Smart Mobility」を立ち上げました。
しかし、親会社のFord社と切り離して運営を行っていたため、サービスの品質に度々問題が生じ、DX化を目指した子会社を売却しています。
Ford社の失敗は、DXを全社的に行わず、切り分けて実施したことが問題でした。Ford社の従来の品質管理とIT技術を上手に組み合わせれば別の結果になっていたかもしれません。

3.失敗事例から学ぶDX導入の注意点

2つの失敗事例からの学びは、DX化の実施を前提としたとき、未来予測の失敗と、既存事業のノウハウ活用不足です。
DXを導入する際の注意点の1つめは、未来予測の必要性、つまりマーケティング戦略を意識したDXです。

マーケティングの専門家は、将来、社会や組織はこうあるべき、こうなっていくだろうという未来予測を行っています。
こうしたマーケティングの視点をDXに絡めることができなければ、間違った方針のDXになる可能性があります。

2つめは、既存事業のノウハウを活用することです。
既存事業には、長年培ったノウハウが存在し、全て切り捨てると承継したノウハウが失われてしまいます。
「事業を全て刷新し新しいビジネスモデルに移行する」「部分的に継承すべき点は残し再構築する」「既存事業の大部分を残しながら現在発生している問題点を分析対処する」、いずれのどの方法を用いるのが長期戦略と合致するのか検討することが必要です。

4.まとめ

DXの導入はメリットもデメリットも存在します。
同時に、成功した事例があれば失敗した事例も存在します。
DXを推進する際に必要なのは、DX導入の良悪どちらも認識して検討することです。
検討の際には、成功事例以上に失敗事例を検証するとともに、検討しているDXの方針が会社の長期戦略、更にはマーケティング的見地の将来性と合致することが大切です。

IngDan Academyでは、日本に比べて先行してDXを達成している深センの事例を多く紹介しています。
事例研究に役立ててみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長
こちらのブログ記事もお勧めです。
IngDanアカデミーが発信する各種動画をご視聴いただけます。
※無料会員登録をしていただきますと、過去のアーカイブ動画もご視聴
いただけます。
IngDanアカデミーについてのご質問、ご相談などお気軽に
お問い合わせください。
IngDanアカデミーの最新情報や深センの最新DX事例など、
楽しくて役に立つ情報をお届けいたします。