ファーウェイの自動運転は「人・車・家庭」をシームレスに繋ぐことを目指す

2021年11月8日

近年の車技術は凄まじいスピードで発達しています。
1769年に蒸気自動車が生まれて以降、車は一貫して移動・運搬のための道具として利用されてきました。近年、車をインターネットとつなげることで、移動の手段以外に目的を設定する企業が現れ始めています。

例えば、旅行先での観光地の検索、天気やニュースの視聴から、動画によるプライベート映画館化まで、その可能性は留まるところを知りません。
車技術の最先端を行くのが中国、そしてファーウェイなどのIT企業です。IT技術で車と人との関係はどのように変わるのでしょうか。

1.最新の自動車運転技術が集まる「国際モーターショー」

最先端の車技術が集まるのは「国際モーターショー」です。
2021年9月にドイツ・ミュンヘンで「IAAモビリティ2021」が開催されました。
ドイツでは新型コロナウイルスに由来するロックダウンが実施されていましたが、解除後初めての大型国際イベントとなりました。

例年は自動車を中心にしたイベントでしたが、2021年は自動車に限らず、自転車やドローンといった移動に関する幅広いものの展示が見られました。
見本市の会場と屋外会場とを結ぶ12kmの道を電気自動車・燃料電池車が試乗できるのも今回のモーターショーの特徴です。
このモーターショーで、中国ファーウェイが先端技術の展示を行いました。

2.ファーウェイの開発する自動運転システム「ADS」

ファーウェイは大手通信機器メーカーとして日本でも有名です。
2019年5月、アメリカのトランプ政権がハイテク関連機器の禁輸措置をとったことでファーウェイは事業の方針転換を余儀なくされます。
2021年6月、通信機器を中心にITテクノロジーで得た技術力を用いて、2025年までに自動運転乗用車を開発することを宣言します。

ファーウェイの提供する自動運転システムは「ADS」と呼ばれ、モーターショーでも話題を呼んでいます。
ADSは複数のシステムや高度なセンサーを搭載することで完全な自動運転の実現を目指しています。
現状は自動的な車線変更や前走車の追い越し、信号の自動判断といった機能は備えているものの、矢印信号やカウントダウン信号には対応できていません。

テスラ社の開発するシステム「FSD」は矢印やカウントダウンにも対応しているため、一歩出遅れていると言えます。
一方で方針転換を強いられた2019年から2021年までの間に開発を進めたそのスピード感は驚くべきもので将来、更に高い技術力を獲得することは確実でしょう。

また、ADSに不可欠なものは詳細な地図データです。高い精度の3次元地図を導入することで自動運転は可能となります。
このためADSは地図データのある上海など中国の主要都市でしか自動運転を実現することができません。
ただし、ADSには地図の自動生成機能が備わっており、対象エリア外では走行しながらデータを収集します。システム搭載車両が多くなるほど自動運転の対象エリアが拡大するためADSの普及スピードは加速度的に増えることでしょう。

参考:ADS運転技術の現状
https://36kr.jp/129606/

3.「人・車・家庭」をつなぐインテリジェントコネクテッドカー

ファーウェイは自動運転に加えて「人・車・家庭」をつなぐ『インテリジェントコネクテッドカー』の開発を進めています。
コネクテッドカーは、インターネットとの通信機能を備えた自動車を指します。
広い視点では、車の位置情報の送受信により円滑な信号管理が行われ渋滞などの都市問題解決を目指し、個人の視点ではインターネットサービスを車内で受けられるようになります。

これからは車本体の開発に加えて、車に組み込まれるシステム、ハード面よりもソフト面の開発が重要性を増すことが予想されます。
この流れは車産業への参画が、従来の自動車メーカーに限らず、IT企業を中心としたスタートアップ企業にも広がることを示しています。

IAAモビリティ2021ではファーウェイは革新的な工学ディスプレイ技術を出展しています。
フロントガラス全体がディスプレイとなり、必要な運転情報や前走車との距離、ナビゲーションの示す方向などが表示されます。
運転補助に限らず、車内で動画やゲームを楽しむこともでき、車内で映画館のような体験もできます。
クラウドとの連携で自宅のエアコンなど電化製品との連携も目指し、例えば帰宅10分前にエアコンが起動し、帰宅時にはちょうどよい温度の自宅に、といった未来も想定しています。

参考:自動運転・コネクテッドカーの市場規模
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/c017f78ea17c04c8.html

4.まとめ

大連市コネクテッドカー連盟の調査では、2020年の世界全体の自動運転及びコネクテッドカーの市場規模は世界全体で3,062億円、うち36%ほどの1,100億円を中国が占めていました。
さらに2035年の予測では世界全体で9,964億円、うち43%の4,300億円を中国が占めると予想しています。
政策の意思決定が早く、官民協働で事業を行う中国では日本や他の先進国より早い技術革新で実現しています。
結果として先進技術の開発・運営ノウハウが多く集まるという結果にもつながっています。

日本でこれから生じる自動運転・コネクテッドカー技術の課題は既に中国で発生している可能性があります。
中国の先進事例を研究することで前例に学び課題を早めに解決することを目指しましょう。
IngDan Acadenyでは深センを中心に多くのIT技術の事例を研究しています。先進事例研究に興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

記事監修者
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長
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