【スマートシティ事例】中国版テスラ NIO(ニーオ) 車のビジネスモデルとは

2021年9月13日

中国では、DXの技術を用いて、街全体の利便性を高めるスマートシティが次々と誕生しています。
その都市群のうちの1つが深センです。
深センは1980年に経済特区に指定されてから現在に至るまで、人口30万人の漁村が1,300万人の一大都市に変貌しました。

集まる企業は最新のITテクノロジー関連の企業で、政府の方針もスマートシティ化を後押しします。
深センのスマートシティの事例と、最新のテクノロジーを提供する起業を紹介します。

1.参考にすべき中国のスマートシティ事例について

深センでは、最新のIT技術を活用して生活の利便性を高めています。

(1)顔認証
顔認証は、AIが来店した人の顔を判別し、自動で決済が完了する仕組みです。
顧客は人民元を持たずに買い物をするメリットを享受し、店舗は顧客と購買データを結びつけて分析、販売戦略に活かすことができます。

(2)無人店舗
無人店舗はQRコードを読み取ることで入店が可能となり、QRコードで決済する仕組みです。
顧客と店舗のメリットは顔認証と同様ですが、更に無人店舗では人件費を削減できるメリットがあります。

(3)パンダバス
6種類の車載センサーが搭載された路線バスです。
運転手は乗車するものの、緊急時以外は自動運転で運行します。
各座席にはモニター設置しており、マルチメディアコンテンツを楽しむことができるほか、掌紋認識システムを採用しており、手のひらをスキャンして乗車することが可能です。

(4)完全自動タクシー
自動運転車を開発する起業「AutoX」が提供する、完全無人運転タクシーです。
運転手は同乗せず、遠隔操作装置もついておらず、タクシーに搭載の機器のみで運用が可能です。
深セン市全域で5G通信が可能になり、IT技術と5GをDXで繋げたサービス・商品が更に多く提供されることが予想されます。

2.中国版テスラ NIO(ニーオ) 車のビジネスモデルとは

スマートシティに向けた実証実験、実用化が進む中で、EV、電気自動車のメーカーで市民生活を一変させる新たな取り組みが進んでいます。

「中国版テスラ」と呼ばれるNIO社は、高い自動運転技術と新たなビジネスモデルで高い評価を受けています。
自動運転技術では、自社開発の自動運転システム「NAD」を用い、33台のセンシング機器を搭載して自動運転をサポートします。

一方、NIO社の提供するビジネスモデルは従来の電気自動車メーカーと異なります。
「NIO Power」と呼ばれるシステムは、バッテリーを交換する新たな仕組みを導入しています。

従来のバッテリーを充電する仕組みだと、例えば日産リーフの場合、急速充電でも60分はかかります。
バッテリー交換の場合は1分もかからず交換が終了するので、ユーザーに高い利便性を提供できます。

また、NIOユーザーのみ使用可能なアプリを用いてユーザー同士のコミュニケーションを図り、NIO車保有の満足度を高めています。
同様に、ユーザーのみ使用できる「NIO HOUSE」と呼ばれるラウンジをショールームに併設しており、コワーキングスペース・キッズスペース・カフェを設置、満足度を高めています。
車の販売に加え、ユーザーの満足度、優越感を高めていくためのサービスをまとめて販売するビジネスモデルです。

3.日本企業にも適用できる中国のビジネスモデルの考え方

NIO社のビジネスモデルの成功から得られる知見は、CX(Customer Experience)の重視により顧客満足度が高まり、売上に直結することです。
CXとは、顧客が商品に興味を持ち、調査、比較検討、見積もり、購入、使用中、使用後まで、商品に触れる一連の体験を指します。

NIO社の例では、顧客が車を購入した後も、バッテリーの交換やメンテナンス、NIO HOUSEの日常利用など顧客のCXを高める施策を行っているといえます。
結果として、高いCXを体験した顧客はNIO社のファンとなり、次の乗り換えの際にもNIO社を選択することになります。

高いCXを獲得している企業は身近にも存在します。
スターバックス コーヒー ジャパンは、根強いファン・リピーターの獲得で高い業績を出している企業です。
スターバックスはコーヒーの提供に留まらず、顧客が心地よい空間を創造することでファンを得ています。

具体的には、客席に設置された電源やwi-fi、心地よい座席、高度な接客対応です。

CXを獲得する施策を行うことで、「コーヒーを飲む場所」ではなく「心地よい時間を過ごせる場所」として広く受け入れられているのです。

4.まとめ

中国で広がるスマートシティ化、どのようなサービスが提供されているか確認するとともに、深センで存在感を増す、NIO社についても紹介しました。
NIO社のCXを高めることでファンを増やすビジネスモデルは日本企業でも応用可能な考え方です。
販売までを仕事と捉えず、販売前後も含めて顧客に体験を提供する意識を業務に加えてはいかがでしょうか。

今回紹介したNIO社については、IngDan Academyで豊富な写真・映像資料と共にコンテンツを提供しています。
更に、成功の鍵は何か、NIO社創業者へのインタビュー映像も提供していますので、是非ご確認下さい。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長
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