ハイテク都市「深セン」の成功事例から学ぶ日本企業の課題と解決方法

2021年8月30日

Shenzhen

中国のシリコンバレーと呼ばれる都市、深セン。ファーウェイやテンセントなど、日本でも有名な企業が籍を置くハイテク都市です。深センは元々は人口3万人の小さな漁村でしたが、40年ほどで1,300万人の巨大都市に変貌しました。

深センには多数のIT技術を活用した成功事例があります。
深センの成功から、日本企業が抱える課題と、その解決方法についてみてみましょう。

1.ハイテク都市深セン

深センの人口は、1980年頃は3万人で、中国の田舎にある小さな漁村でした。
中国で初めての経済特区に指定されてから著しい成長を遂げ、現在では人口1,300万人の巨大都市になっています。

経済特区の内容は、国内企業では、ハイテク企業として認められると法人税率の減税を始めとした税制面の優遇、外資系企業でも、税制を始めとする様々な優遇政策が打ち出されています。結果として、国内外から大手・ベンチャーを問わず、多くの企業が集まっています。

深センの強みは、発展のスピードにあります。元々小さな漁村であった地域を大規模に開発しているので、既存の既得権益や慣習に囚われず、新たなビジネスモデルをスピード感をもって受け入れることができるのです。

2.深センでのIT技術を活用した成功事例の紹介

IT技術

発展を続ける中で多くの成功事例を持つ深セン。
IT技術を活用して成功した事例を2つ取り上げてみましょう。

1つ目は、「スポンジシティ」です。
スポンジシティとは都市計画の一種で、街全体で降雨を吸い取るスポンジのような街をつくる思想です。近年の豪雨災害の深刻化を受け、注目を集めています。
深センでのスポンジシティ化は、ハードとソフトの融合で成り立っています。

ハード面では、間隙の空いた舗装材料が挙げられます。テンセント本社ビル前では、セラミックを使用し、間隙を確保した舗装が使用されており、雨水を地面に浸透させる工夫がなされています。
ソフト面では、雨量計・水位計にIoT機器を取り付けることで、ハード面の透水性能が正常に機能しているか常に監視しています。

上記のような技術を活用し、データを収集しながらAI分析も導入し、道路の水たまり量の予測・道路陥没の防止などにも役立てています。

2つ目は「電気自動車の高速充電」です。
深センは電気自動車の普及率が高く、タクシー・バスにおいては100%EV化を達成しています。しかし、電気自動車には充電時間が長い弱点があります。

深センに本社を置くBYD社は、この弱点を補うため、充電電圧800Vの急速充電を搭載した車両を上海モーターショー2021で発表し、従来の1時間という充電速度から15分程度へと短縮を図っています。

参考:「BYDが800V急速充電、約1,000kmの航続距離を実現するe-platform 3.0を発表」
https://techview-research.com/2021/04/23/byd-shanghai-auto-2021/

また、電気自動車メーカーでは、バッテリー自体を交換型にすることで、充電(交換)に必要な時間を6分程に短縮しています。
多様なIT化によりハイテク都市へと変貌した深センですが、蓄積したデータの分析をAIが担い、更なるビジネスモデルに繋げたり、NIOのように更に新たな企業が参入することで、発展のスピードが一段と加速しているといえるでしょう。

3.日本企業の課題とITを用いた問題の解決方法

深センと比較する日本の企業の問題は、ビジネス変革のスピード感にあります。
日本でもIT技術により社内変革を起こすDXは知られていますが、実際に推進している企業は全体の3割程度です。

ビジネス変革を阻む要因は、主に2つです。

(1)既存のシステムで経営が成り立ち、変革する必要がない
(2)変革に必要な人材の不足

旧来の既存のシステムが既に構築されており、経営が成り立っている以上、DXなど変革をしなくても経営を続けられるため、変革する必要性を感じていない点が1つ目です。

建設業においてDX推進率が高いことがこの問題点を示しています。
日本の建設業では人材の不足が深刻です。省力化・効率化の必要性が高まっており、DXなどの変革に迫られているといえます。
必要性に迫られる危機的状況下でなければ、既存のシステムの再構築は困難といえる例でしょう。

次に、日本の企業では、変革に必要な人材が不足していることが挙げられます。

経営状態の悪化などからリストラが断行される中、既存のシステムを運用する最低限の人員で企業が成り立っています。社内の変革に人員を割く余裕はなく、放置されているといえます。

逆に、変革を阻む問題を解決するきっかけもあります。それがコロナです。
コロナウイルスの台頭で、通勤時間・オフィスや会議室の経費など、テレワークを代表にIT技術を導入すれば、削減・効率化可能な業務に気付いたのです。

必要に迫られてDX化を検討する建設業の事例を述べましたが、同様にコロナによって、建設業以外の全ての分野の企業にIT技術の導入による効率化を迫られているのです。

経営者は、DXに関連する先進事例を確認し、自社ビジネスに応用可能な事例を知見に迎える必要があります。また、DX化を専門とする信頼できる外部人材を確保し、自社のビジネスに適したIT技術は何か相談できる環境を整える必要があります。

参考:「日本のDXは本当に遅れているのか?」
https://blog.global.fujitsu.com/jp/2020-04-17/01/

4.まとめ

中国のシリコンバレーと呼ばれる深セン、その発展スピードについて解説するとともに、成功事例を紹介しました。対して、事業の変革スピードが緩やかな日本企業の問題点とその対策をまとめました。

コロナ禍の今こそ、従来のビジネスモデルの問題点を議論すべきで、DX化を中心にIT技術の活用により、大幅な効率化を実現するチャンスです。
自社にIT化に優れた人材がいない場合、経営者自身がIT技術について学ぶとともに、IT技術に秀でた外部人材を確保し、相談できる環境を整えることが大事です。

IngDan Academyでは、豊富な写真・映像とともに、DX化を主としたITを技術の成功事例をコンテンツとして提供しています。また、IT化について同じ悩みを抱える経営者や、ITの専門家を招いてワークショップなども実施する計画です。無料のコンテンツも提供しているので、動画の視聴から導入を検討してはいかがでしょうか。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長
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